福岡市の川と博多湾 ・ 国の「公共用水域水質測定」1984〜2024年度から

博多湾や室見川は、きれいになった?

福岡市が毎月測っている川の31地点と博多湾の11地点の水の汚れを、40年分たどりました。川は BOD、海は COD という、水の中の汚れ(有機物)の量で見ます。数字が小さいほど、きれいな水です。国が決めた環境基準(地点ごとに違う)と並べています。

川 ・ 環境基準点 19地点(BOD 75%値)

今の基準を満たす超えた

博多湾 ・ 環境基準点 8地点(COD 75%値)

今の基準を満たす超えた

COD ってなに? 栄養分とプランクトンで上がるのは、なぜ?
  1. COD は、水の中の有機物(生き物が作った、炭素でできた物質)の量です。生き物そのものではありません。生きたプランクトンのほか、死がいやふんのかけら、水に溶けて見えなくなったものまで数えます。下水や工場の汚れも、この有機物です。
  2. 植物プランクトンは、窒素や燐(栄養分)と日の光で増えます。増えたプランクトンそのものが有機物なので、COD が上がります。外から汚れが入らなくても、湾の中で「汚れ」が生まれるわけです(内部生産といいます)。
  3. 雨が降ると、田畑や町の栄養分が川を通って湾へ流れ込みます。そのあと晴れて日差しが強いと、その栄養分を使ってプランクトンが一気に増えます。
  4. 博多湾は外の海とつながる口がせまく、水が入れ替わりにくい湾です。入った栄養分がとどまりやすく、増えたプランクトンも湾の中に残ります。
  5. 上の数字では、燐は減り、窒素と燐は基準も満たしています。それでも、プランクトンが増えるだけの栄養分はまだ残っている、と読めます。下水の汚れを減らしても、COD がすぐには下がらないのはこのためです。
  6. 分解されにくい有機物が、COD を底上げしています。水に溶けた有機物の一部は、微生物もなかなか食べられず、長く海に残ります。福岡市の研究所の調査(2011〜2017年、C-10・E-X1)では、COD の半分以上が水に溶けた分で、微生物が使う量(BOD)がほぼ 0 でも COD が 1.5mg/L 以上ある水がありました。C-10 の基準(2mg/L)の大半を、この分だけで使っていることになります。全国の研究では、窒素を減らしたことで有機物の性質が変わり(炭素に比べて窒素が少なくなり)、分解されにくくなったという見方も出ています。大阪湾・播磨灘でも COD は15年横ばいで、兵庫県は2025年、分解されにくい分が増えて「今の COD は基準を決めたころとは中身が違う」として、COD の基準そのものの見直しを国に求めています。

もとの文は「その主な要因として降雨による栄養塩の流入や十分な日射量等による植物プランクトンの増殖が考えられた」(福岡市 水質測定結果報告書 令和6年度版)。報告書はその年に基準を超えた理由として書いており、40年下がらない理由を調べたものではありません。5 番目はこの画面の読みです。6 番目は、福岡市保健環境研究所の調査(国立環境研究所との共同研究 報告書 平成26〜28年度)と、藤原ほか「窒素・リン削減が海域の有機物量(CODおよびTOC)に及ぼす影響」(水環境学会誌, 2021)・藤原・鈴木「閉鎖性海域のCOD上昇」(同, 2024)から。兵庫県の話は「兵庫県における水質総量削減の現状と課題」(中央環境審議会 総量削減専門委員会 第3回 資料5, 2025年3月)から。窒素と有機物の性質の関係は、博多湾で確かめられたものではありません。

地点ごとの40年

地点の場所

いま基準を満たすいま超えている基準の決まっていない地点

室見橋

    表で見る